塾長のひとりごと

【教育の未来へ一歩】全国学力テストCBT化、生徒たちのために今、何をすべきか

 

皆さん、こんばんは!

昨日、今日と急に寒くなりましたね。

明日からは、また暖かくなりそうですが温度差による体調不良には気をつけなければなりませんね。

 

今回は、文部科学省が発表した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)のCBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式本格導入について、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

今年度から中学理科で初めて本格導入されたCBT方式。

動画視聴や図の操作といった、紙媒体では難しかった多様な出題が可能になり、IRT(項目反応理論)による詳細な学力分析も期待されています。

将来的には、2027年度までに全ての科目で紙試験が廃止される予定とのこと。

教育のデジタル化は、まさに時代の潮流と言えるでしょう。

私自身、CBT導入には大いに賛成です。

生徒一人ひとりの習熟度に応じた出題や、多様な形式での学びの提供は、これからの教育において不可欠だと考えます。

OECDのPISAやフランスの学力調査でも導入が進んでいるように、国際的な標準となる可能性も秘めています。

大学入試や国家資格試験への応用も検討されているとのことで、今回の全国規模での実施は、その大きな一歩となるでしょう。

しかし、その一方で、見過ごすことのできない課題も浮き彫りになっています。

それは、通信環境の整備です

全国の公立学校で推奨通信速度を満たしているのは、わずか2割に過ぎないという現状です。

これでは、CBTのメリットを最大限に活かすことができません。

 

通信環境の良し悪しがもたらす問題点

  • 解答の遅延と中断による不当な評価: 不安定な通信環境は、解答時間の浪費や中断を招き、生徒が本来発揮できるはずの力を出し切れず、不本意な結果に繋がる可能性があります。
  • 操作性の悪さによる学習機会の損失: CBTの強みである動画やインタラクティブな教材がスムーズに利用できない場合、学習効果が低下し、CBT導入の意義が薄れてしまいます。
  • 精神的な負担と集中力の低下: テスト中のトラブルは生徒に不要なストレスを与え、集中力を削ぎ、本来の学力とは異なる結果を生み出す可能性があります。
  • 教育格差の拡大: 通信環境が整備された学校とそうでない学校間で、CBTの実施状況や生徒のパフォーマンスに差が生じ、教育の公平性を損なう恐れがあります。

通信環境という外的要因によって正誤が左右されてしまうのは、決してあってはならないことです。

塾生のクラスでも、テスト前になかなか接続できずにクラス全体で30分ほど試験が中止したそうです。

IRT方式による詳細な学力分析も、基となるデータが不安定な通信環境によって歪められてしまっては、その精度は大きく損なわれてしまいます。

そこで、私は提言したいと考えます。

CBTの本格導入を推し進める上で、通信環境の整備は最優先事項であると。

そして、その実現に向けた具体的なステップとして、各都道府県で数校のモデル校を指定し、先行的にCBT方式を導入・検証するのはいかがでしょうか。

 

モデル校先行導入のメリット

  • 課題の早期発見と全国展開への教訓: モデル校での実践を通じて、通信環境の技術的な課題、システム運用上の問題点、教員のICTスキル、生徒の適応状況など、様々な課題を早期に洗い出し、全国展開に向けた具体的な対策を練ることができます。
  • 成功モデルの確立とノウハウの共有: モデル校での成功事例を分析し、そのノウハウを研修プログラムやサポート体制として他の学校に共有することで、全国的なスムーズな導入に繋がります。
  • 段階的な導入による現場の負担軽減: 一斉導入による現場の混乱を避け、段階的に導入を進めることで、教員や学校現場の負担を軽減し、無理のない移行を可能にします。
  • 国民の理解と支持の獲得: モデル校での成果を積極的に公開することで、CBT導入の意義や効果を広く社会に理解してもらい、国民的な支持を得やすくなります。
  • 技術的・教育的な効果検証: IRT方式の有効性、多様な出題形式の教育効果、生徒の学習意欲向上への影響などを、実際の教育現場で詳細に検証し、より質の高いCBTの実現に繋げることができます。

 

モデル校選定のポイント

  • 安定した通信環境の確保: 十分な通信インフラが整っている、または整備に積極的な学校を選定することが大前提です。
  • ICT活用への積極的な姿勢: 教員と生徒双方にICTを活用する意欲があり、新しい技術に柔軟に対応できる学校を選ぶことが望ましいです。
  • 地域性や学校規模の多様性: 都市部、地方、大規模校、小規模校など、様々な背景を持つ学校をモデル校に選定することで、全国的な課題を幅広く把握し、多様な状況に対応できる対策を検討できます。
  • 教員の研修体制とサポート体制の充実: モデル校の教員に対する十分な研修機会と、技術的なサポート体制を確保することが重要です。

皆さんのご意見も、ぜひお聞かせください。