受験情報
中学生向け
2025年度 広島県公立高校入試 国語 大問1 解説
受験生のみなさん、自己表現お疲れ様でした。
今日は早く休んで残り少ない中学生活を思いっきり楽しんでください!
では昨日お伝えした通り、各教科の解説を載せていきます。
国語からです。
思った以上に文字数が多くなってしまったので国語は大問ごとに載せていきます!
概観
・選択問題が減った。(2024年5問→2025年3問)
・大問1の文章量が増えた。
・記述問題が増え、書く量も増えた。(2024年270字→2025年355字)
・最後の作文が無かったのは、昨年同様。
大問1 小説(21点)
例年通りの小説です。
今年は共通して選択問題が少なく、記述問題が多かったですね。
小説では、リード文を読んで登場人物、場面、登場人物の関係性を整理しておきましょう。
作品のタイトルもヒントになることがあるので必ずチェックしてくださいね。
今回は村上雅郁さんの『きみの話を聞かせてくれよ』。2023年の作品で中学校を舞台にした7つの物語からなる連作短編集です。
その中の『シロクマを描いて』から出題されています。
どうやら中学入試でもよく出題される作品なんだそうです。
まじめで無口な中2の白岡六花が主人公です。
小学生の時、自分の描いたシロクマの絵をほめてくれた春山早緑と仲良くなりますが、1年前に仲違いしたまま、ひとりぼっちでさみしい思いをしています。
六花の気持ちを聞いた黒野が密かに動き、2人は仲直りをする機会を得ます。
黒野、いいやつですね。
問1
漢字の書き取りです。
書けましたよ...ね?
問2
当てはまる適切な表現を選択する問題です。
背中を押す、腕を上げる、足を洗う、肩を持つから選びます。
それぞれの慣用句の意味を知っていれば簡単に解ける問題です。
慣用句とは、2つ以上の言葉が結びついて、特定の意味を持つようになった表現です。
体の一部を使った表現が多いのも慣用句の特徴。
今回の正解は肩を持つが正解です。
六花は部活の愚痴を早緑に聞いてもらい、共感してくれると思ったのですがそうではありませんでした。
「私の見方じゃなくて、あの子たちの味方をした。」という部分からも分かりますね。
それぞれの意味も確認しておくと…
- 背中を押す
意味: 人の決断や行動を励まし、支援すること。決心や行動を促すこと。
例文:「先生は、私の夢を応援してくれ、いつも背中を押してくれました。」
- 腕を上げる
意味:技術や能力が向上すること。技能や腕前を磨くこと。
例文:「彼は毎日練習を重ね、料理の腕を上げた。」
- 足を洗う
意味:悪い行いや関係から抜け出すこと。過去の悪事から離れ、まっとうな生活を送ること。
例文:「彼はギャンブルから足を洗い、真面目に働くようになった。」
- 肩を持つ
意味:特定の人の味方をする、または支持すること。一方の味方としてかばうこと。
例文:「今回の件では、私は彼の肩を持つことに決めた。」
問3
発言の意図に合ったものを選ぶ問題です。答えは皮肉。
本来誉める時に使う言葉を、逆に相手を非難したりからかうときに使うことがあります。
例えばカラオケに行ったときに歌が下手な友人に「adoくらい上手いやん!」なんて言った時です。
これはからかってますよね。自覚していない人の場合はうれしいかもしれませんが。
六花の場合絵は上手ですが、その上手ということをあえて批判するために「白岡画伯」と言ったんですね。
仲良くなったきっかけの言葉が、喧嘩したきっかけの言葉にもなっていますね。
ちなみに皮肉という言葉は仏教用語からきています。
仏教の経典に登場する「皮肉骨髄」という言葉が由来となり、「皮肉」という言葉が使われるようになりました。
「皮肉骨髄」とはものごとの悟りの境地を評価した言葉です。
通知表の5,4,3,2,1みたいなものだと思ってください。
皮から順に良くなっていきます。髄が最高評価です。
皮と肉は骨や髄まで達していないので、表面的な理解だということを示しています。
このことから「皮肉」という言葉が生まれました。
問4
「ちょっぴり期待して」とはどのようなことを期待したか書く問題です。
黒野くんの手回しですね。公園にいた六花のところに早緑が現れ2人が喧嘩のことについて会話している場面です。
早緑は喧嘩していた頃、毎日泣いていたそうです。
六花はそれが私のことでと思ったのですが、そうではありませんでした。
その時、がっかりして少し恥ずかしい気分になったんです。
六花は早緑が、自分と喧嘩したことに対して後悔して、泣いていたのかと思ったのですね。
これが答えになります。文末は「〜こと。」にしてくださいね。
問5
早緑の顔が、固まった理由を答える問題です。
早緑があんなことを言ったのは、部活で悩んでいた最中に六花が言った一言が、まるで自分のことを責められているように思ってしまったからです。
それを聞いて六花は泣いてしまいます。
早緑の気持ちを全く考えられていないこと、分かり合えないと思ったこと、自分が被害者だ、などと思っていた自分を悔やんだのですね。
最後に「六花も泣くんだね。」とあったように早緑は六花の泣くところなんて見たことなかったんでしょうね。
つまり、泣かないと思っていた六花を泣かせてしまい、困惑したから顔が固まったということですね。
理由を答える問題の文末は「〜から。」にしましょう。
問6
あの日、自分が放った言葉が、どこか遠くで響いた。という描写について、班での話し合いの空欄を埋める問題です。よく出る問題です。
今回は小説の流れをまとめたような問題です。
生徒の会話も参考にしながら、どこに注目すればよいか考えましょう。
Ⅰは六花は早緑に些細な部活の愚痴を聞いてもらってスッキリしたかったこと。
Ⅱ・Ⅲは問4・問5が解答の根拠につながります。
六花の言葉を、当時の早緑はどう捉えてしまったのか、当時の早緑の気持ちを聞いて六花は考えずに言った言葉が早緑を傷付けてしまったことに気づいたということを書けば良いですね。
学生の頃は特に、些細な言葉のすれ違いなどで喧嘩しましたよね。
私も中学時代付き合っていた彼女と...どうでも良いですね。
以上で大問1の解説を終わります!
大問2、3も載せていくのでお楽しみに!